
大規模リコール――台湾の主権と独立を守る
2025年、台湾では前例のない大規模なリコール運動が起き、全国で100万人を超える署名が集まった。立法院で多数を占める中国国民党と台湾民衆党が物議を醸す法案を推進したことに対し、市民が自発的に議員を監督しようとしたのである。高雄市長だった韓国瑜の罷免に続き、政党による権力の乱用に市民が立ち向かった動きといえる。
大規模リコールの背景には、主に次のような理由がある。
一、国家と党への裏切り。国民党の傅崐萁議員は就任後の2024年4月26日、王鴻薇議員ら計17人を率いて北京を訪問した。筆者は、中国共産党の統一戦線工作を担う王滬寧から指示を受けたと捉え、かつて反共を掲げた国民党が共産党と手を結ぶのは党と国家への裏切りだと批判する。
二、国防予算の削減。国民党と民衆党が共同で国防予算を削り、台湾の防衛力を脅かし、国際的な友好国に自衛の決意が揺らいでいるとの誤った信号を送った。筆者は、両党の議員が中国共産党の傀儡となり、台湾の人々を代表する資格を失ったと厳しく非難する。
三、立法権限を拡大する法案の強行採決。2025年度中央政府総予算の大幅削減、異論や議事手続きの軽視、扉を閉めた会議運営、わずか1分での議決、他党の発言機会の剥奪、抜き打ちの会議などにより、立法院は国民党と民衆党の多数決の道具になったと筆者は論じる。傅崐萁、王鴻薇らは資金用途を明確にしないまま3,700億台湾ドル規模の財政配分法改正を通し、一方で警察、健康保険、消防などの予算を削減した。筆者は治安や医療資源の悪化を懸念し、選挙・罷免法の改正によるリコール要件の引き上げは、市民による公権力の監督を弱めると批判する。
四、虚偽と詭弁。刑事事件を政治的迫害だと強弁する動きがある。傅崐萁は証券取引や税務に関する事件で有罪判決を受け、偽装離婚をめぐる論争も経験し、服役後に立法委員へ復帰した。選挙関連の捜査で捜索を受けた際には政治的迫害だと主張した。筆者は、柯文哲の場合と同様、刑事上の疑惑を党派対立にすり替える行為だとみる。また『花蓮王朝』と呼ばれる政治手法を批判する。国民党主席の朱立倫がナチスになぞらえた発言についても、ドイツ在台協会が深い失望と懸念を表明したことを指摘する。
五、台湾の主権への裏切り。筆者は、組織犯罪、メディア、退役軍人や警察関係者、教育機関、里長、寺廟など多様な経路を通じた中国共産党の政治浸透に、一部の政治家が協力していると非難する。スパイ活動に関係する起訴事例が65件を超えるとの数字を挙げ、民主主義への侵食の深刻さを訴える。
六、反浸透法の強化への妨害。反浸透法を市民の自由への干渉と批判し、中国共産党から資金を受けて情報を提供する行為への厳罰化に反対する一方、中国からの資金流入を緩和する法案を推進していると筆者は批判する。その資金が先端技術の窃取や政治浸透に使われるおそれがあり、海外で不動産価格の高騰や資金洗浄につながるとも主張する。国民党と民衆党が国会の多数を利用して選挙制度や両岸政策を変更し、台湾の国際交渉力と主権を損なっているという見方である。
七、有権者の人質化。国民一人当たり1万台湾ドルの給付を政治的な駆け引きに利用した。韓国瑜は反リコール集会で、リコールが成功すれば給付金が『没収される』と警告した。筆者は、金銭的利益によって民意を誘導する手法は民主主義への侮辱だと考える。
筆者は民進党政権について、敵対勢力との協力や台湾の主権への脅威に対してゼロ・トレランスの姿勢を取らず、国家安全保障上の危険を軽視していると批判する。中国共産党の長年の浸透工作と、経済的利益を求める一部政治家や企業の動きが民主制度と安全保障を損ない、政府が対処しなければ法と統治への信頼が崩れると警告する。
国家安全保障と独立を確保するために
一、国家安全保障の特別捜査班を直ちに設置する。法務部、内政部、国家安全局が連携し、敵対的な中国共産党政権との協力が疑われる行為を専門に捜査・起訴し、手続きを迅速化して公開裁判と厳正な処罰を進める。
二、資産の凍結。金融監督管理委員会、法務部、地方検察署が協力して疑わしい資金の流れを追い、中国共産党との関連が見つかれば、速やかに裁判所へ凍結命令を申請し調査する。
三、反浸透教育と通報奨励の強化。中央省庁と地方自治体は定期的に教育を行い、関連情報を提供する通報者を奨励する。
民進党政権は『主権最優先』の原則に立ち、断固たる意思を示さなければならない。筆者は、中国共産党との共謀や不当な利益供与を迅速に捜査・審理し、台湾の主権と民主制度を覆そうとする動きを厳罰で抑止するよう求める。
筆者は、リコールを妨害するために国民党関係者が署名を偽造し、有権者の個人情報を盗用し、地方行政機関と秘密裏に協力して署名活動を妨げた疑いがあると主張する。市民によるリコールは民主主義の強力な免疫システムであり、投票によって立法院を政党ではなく国民の利益を代表する場に戻すべきだと訴える。
筆者は有権者に対し、小さな恩恵や個人的な利益に左右されず、大局的な是非を見極め、リコールに参加して投票し、台湾の主権、民主主義、自由と尊厳を守るよう呼びかける。
また、台湾の主権と独立を守るために多額の資金と人脈を投じた曹興誠氏を称賛し、実業界で培った現実的かつ革新的な考え方と、信念ある指導力に敬意を表する。
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